慶應義塾大学と言えば、早稲田と対をなす国内トップの私立大学です。読者の中には、慶應に入りたくて必死に受験勉強に挑戦している人たちもいるはずです。なかでも、SFC出身者が社会的に活躍する姿を見て、憧れを抱いている受験生の方もいるのではないでしょうか?
しかしながら、日吉や三田にあるキャンパスの出身者のなかには、「SFCは慶應じゃない」とネガティブに評価する人たちもいるようです。優秀な卒業生を数多く輩出しているのにもかかわらず、どうして非難されるのでしょうか?
この記事では、「SFCは慶應じゃない」と言われる理由について解説しています。また、SFCをゴミ扱いする人たちが知らない素晴らしい魅力も紹介しているので、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに興味のある人たちは参考にしてみてください。
SFCとは?
SFCとは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの略称です。Syonan Fujisawa Canvasの頭文字を取って「SFC」と呼んでいるわけです。大学の場所は神奈川県藤沢市にあります。
学部は総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部、修士及び博士は政策・メディア研究科、健康マネジメント研究科が設置されています。日吉や三田のキャンパスと比較して、自然が豊かでのびのびとした環境で学べるのが特徴的です。
SFCに関する基本情報について知りたい方は、慶應義塾大学の公式HPにアクセスしてください。
「SFCは慶應じゃない」と主張する理由
なかには、「SFCは慶應じゃない」と批判的に述べる人たちもいます。そこには、一体どのような背景があるのでしょうか?
これに関しては、大きく3つの理由があると考えられます。
理由1 他学部と受験方式が異なる
第1に、SFCは他学部と受験方式が異なることから三田や日吉に通う人たちから「慶應じゃない」と揶揄されることがあります。
SFCの受験方式は「一般入試」と「AO入試」に分かれています。一般入試は小論文に加えて、外国語と数学のいずれかを選択する2科目のテストを受ける必要があります。AO入試は書類審査と面接審査で合格すれば入学資格を得ることができます。特に、SFCはAO入試の採用人数が多いのが特徴的です。
一方で、SFC以外の学部はAO入試の募集人数が少なく、一般入試は3科目のテストを受けなければなりません。そのため、SFCの学生は慶應と名乗るに相応しくないと考える人たちがいるようです。
とはいえ、国立の受験と比較するならまだしも、2科目と3科目で合格者のクオリティを議論するのは、少々無理があると言わざるを得ません。見方を変えれば、2科目で合否を決定する仕組みは1つのミスも許されない厳しい試験です。その意味では、学力に極端な差はないと言えます。
ただ、AO入試に関しては、いわゆる「受験勉強」とは全く異なるアプローチで学生を募集していることから、偏差値から想定される学力が達していないケースもあるかもしれません。しかし、そもそもAO入試は既存の教育が提供する成績のような杓子定規的な指標ではなく、個人の考え方や活動にフォーカスを当てた新しい評価軸で合否を決定しているので、比較対象として適切ではないと言えます。自分の得意な領域で優劣をつけるのは、相手の立場を考慮することのない単なる自己満に過ぎません。
理由2 田舎にある
第2に、SFCは三田と日吉などのキャンパスと比べて田舎にあることから「慶應じゃない」と言われることがあります。
先述のとおり、SFCは神奈川県藤沢市にあります。最寄り駅を降りると、地方の田舎で見かける風景が広がっています。伝統的な慶應の「シティボーイ」や「シティガール」のイメージとはかなりかけ離れていると言えるでしょう。
実際に、SFCのキャンパスに訪れると、時期によっては牛などの糞尿を使った肥料の臭いがすることがあります。逆を言えば、緑が豊富で伸び伸びとしたキャンパスであると言えます。「ガリバー池(鴨池)」という池も施設内にあり、学生たちから愛される癒しの場所となっています。
理由3 個性派集団のイメージが強い
第3に、三田や日吉のキャンパスに通う学生とは違って、SFCの学生は個性派集団のイメージが強いことから「慶應じゃない」と言われることがあります。
いわゆる、国内外の有名企業に内定するような「エリート気質」というよりも、自分で問題意識を持って社会に表現しようと試みるチャレンジャー精神が旺盛な学生が数多くいるのです。保守的なイメージとは異なる意味では、「従来の慶應生とは違う」というのは褒め言葉と言えるでしょう。
SFCをゴミ扱いする人が知らない魅力
「SFCは慶應じゃない」というネガティブな意見も行き過ぎると、「SFCはゴミ」という悪口に発展するケースもあるようです。事実、SFCというキーワードと一緒に検索されている関連キーワードにピックアップされています。けれども、SFCには従来の慶應義塾大学とは異なる独創的な魅力があります。
その1 自分で学びを主体的に設計できる
はじめに、SFCは必修科目が少なく、自分の追求したいテーマに応じて履修する授業を自由に設計できるという魅力があります。
具体的に言うと、卒業単位の124単位中、必修科目は21単位しかありません。すなわち、それ以外は、自分の好きな科目を受講できるわけです。まさに、問題意識を持って何かを探究する環境としてはぴったりのカリキュラムであると言えるでしょう。
自ら選択して入学したはずの大学の学びを受動的に捉えている学生はたくさんいます。厳しい受験戦争を勝ち越えて手にした大学の合格をゴール設定にしている場合は、そうなるのも無理はありません。ただ、学歴だけで満足するのは本末転倒です。
その2 起業家を数多く輩出している
続いて、SFCは有名な起業家を数多く輩出しています。
具体的には、以下の会社はSFCの卒業生が創業しています。
- クックパッド株式会社 佐野陽光氏
- 株式会社じげん 平尾丈氏
- 株式会社コロプラ 千葉功太郎氏
- Sansan株式会社 寺田親弘氏
- コーチ・ユナイテッド株式会社 有安伸宏氏
- BEENOS株式会社 佐藤輝英氏
- 株式会社カヤック 柳澤大輔氏
自分で問題を定義して、解決に向かって主体的に学習する能力は起業に適しているのかもしれません。ただ、アントレプレナーを育成するためのカリキュラムがあるわけではなく、自分で何かしようと考えている人たちが集まりやすいのがSFCの面白さなのだと思います。
その3 ユニークな仲間を見つけられる
最後に、SFCではユニークな仲間を見つけられるのも大きな魅力です。
他の学部と比べて、AO入試で進学する学生たちが多いことを考えると、受験勉強以外で活躍してきた面白い友人ができる可能性があります。
もちろん、過酷な受験勉強を乗り越えた人たちも素晴らしいのは言うまでもありません。しかし、ただ頭が良いだけの学生なら、一定のレベルに達する大学にはいくらでも存在します。AOという一般入試では測定できない資質を考慮しているからこそ、何かに秀でた学生が集まりやすいわけです。
SFCはユニークで面白い学部!
いうまでもなく、SFCは正真正銘の慶應義塾大学です。私自身もSFCの出身者と仕事をする機会が多々ありますが、頭脳明晰で柔軟な発想を持っている魅力的な人たちがたくさんいます。それにもかかわらず、「慶應じゃない」とネガティブな評価を受けるのは少々、可哀想な話です。
そもそも、「学部の性質が違うから慶應として認めない」なんて視野が狭窄した見方をするのは、頭の良いの視点とは言い難いですよね。SFCだろうが、三田だろうが、同じ慶應生であり、大学生活の過ごし方次第で如何様にも成長する若者に変わりありません。
ひとつのカテゴリから人間をあれこれと評価して、あたかもわかったかのように何かを論じるのは世間を単純化した思考停止状態とも言えます。ただ、それくらい物議を醸すほど面白い学部がSFCであるとも言えるのかもしれません。
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