「慶応大学」と「慶應義塾大学」という表記の違いを見て、別な大学であると勘違いする人たちもいるかもしれません。有名な大学であるとはいえ、受験勉強とは縁がなかった人たちからすれば、よくわかりませんよね。実際、両者は同じ大学なのでしょうか?
この記事では、「慶応大学と慶應義塾大学の違いはあるのか?」という疑問について考察しています。大学業界について詳しくない人からすれば、同じように見えるでしょうから、本記事を通じて実態を把握していただければ幸いです。
慶應義塾大学の基本情報
慶應義塾大学は、日本の私立大学で、明治時代に創設された学校法人慶應義塾が運営する総合大学です。あまりにも有名な話ですが、1万円札に印字される人物として長年、日本人に親しまれてきた福澤諭吉が創立しました。
本部は東京都港区にあり、経済学部、法学部、商学部、理工学部、医学部など13学部と11研究科を有します。特に経済学や法学分野で国際的に高い評価を受けており、東アジア研究、情報科学、環境・エネルギーなどでも研究力を発揮しています。
国際化に積極的で、英語教育や国際交流プログラムを推進しています。キャンパスは横浜や神奈川にも広がり、学生数は約3万人を超えます。慶應義塾大学は、日本の近代化において重要な役割を果たし、教育と研究の分野で多くの成果を挙げている名門大学です。
慶応大学と慶應義塾大学の違いはあるのか?
さて、慶応大学と慶應義塾大学には、違いがあるのでしょうか?
結論から言えば、慶応大学と慶應義塾大学は同じ教育機関を指しています。「應」は「応」の旧字体ですから、「慶應」ではなく「慶応」と表記されるようになったわけです。ただ、「慶応義塾大学」という表現が使われれることはほとんどありません。
また、なかには、「慶應義塾大学」という表記にこだわりを持っている在学生や卒業生もいるようです。これに関しては、NHKの文研というコンテンツでも次のように記載されています。
Q テレビの番組で「慶応大学」と示したところ、「慶應大学」とすべきだという指摘を受けた。「慶応大学」ではいけないのだろうか。
A 当事者である会社や大学では「慶應」と表記していますが、NHKをはじめとして新聞社および通信社では、「常用漢字表」に掲載されており、多くの人にわかりやすい「応」を推奨しています。
NHK『「慶應」か「慶応」か』より引用
NHKの放送では、「常用漢字表」に掲載されている漢字が使われている固有名詞(会社名や学校名の場合)は、一般名詞と同様の扱いで「常用漢字表」に掲載される「通用字体」を使うことを優先させています。
慶應義塾大学または慶応大学は日本トップの私立大学であることに加えて、出身大学を誇りに感じている人たちがたくさんあります。そのため、福澤諭吉先生が名付けた大学名に執念を持っている慶応の関係者もいるのかもしれません。
慶應という名称の由来
なお、「慶應」という名称は何に由来しているのでしょうか?
実のところ、福澤諭吉が塾を創設した頃は名前がありませんでした。「慶應義塾」と名付けられる契機となったのは、慶應4年4月に芝新銀座へと移転することになった際、近代的な学塾組織に一新するのに先立って「慶應義塾」と命名することになったと言われています。
これに関しては、慶應義塾大学の公式HPに塾名の由来に関する詳細が記載されているので、興味のある人たちは確認してみてください。
国内屈指の私立大学としてエリートを輩出
慶應大学は早稲田大学と対をなす日本国内のエリート大学です。創立160年以上の歴史を持ち、日本社会をリードする人物たちを数多く世の中に送り出してきたと言ってよいでしょう。
世の中には名前だけ立派そうな大学もありますが、結局のところ、卒業生のクオリティが大学の価値を決定づけます。慶應大学が現在の地位にあるのも、それだけ卒業生が優秀だったからに違いありません。
人口減少で若者の数が少なくなりつつあるなかで、入学する価値をちゃんと発揮した大学だけが残っていくのは必定です。改めて、大学というビジネスは終焉に向かいつつあり、これからは存在意義を持った教育機関だけ生き残る時代になるでしょう。
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