高校生の皆さんは「指定校推薦」という制度を聞いたことがありますよね。これは大学入試の一つの方法ですが、人によって意見が分かれる話題でもあります。
例えば、「指定校推薦って楽して大学に行けるの?」「一般受験に比べて不利になる?」といった疑問を持つ人も多いでしょう。あるいは、指定校推薦で合格した友達に対して「ずるい」「うらやましい」と感じてしまうこともあるかもしれません。
本記事では、指定校推薦の仕組みやメリット・デメリットを高校生向けに分かりやすく解説します。さらに、指定校推薦にまつわる誤解や「廃止すべき」といった批判の理由についても触れ、正しい理解ができるようにしていきます。進路選択の参考にぜひ最後まで読んでみてください。
指定校推薦とは?
指定校推薦とは、大学が特定の高校に対して入学推薦枠を提供し、高校側がその枠にふさわしい生徒を選んで推薦する入試制度です。
いわば高校と大学の信頼関係にもとづいた制度で、高校での成績や素行が優秀な生徒に与えられるチャンスと言えます。指定校推薦で受験するにはいくつかの条件があります。
主な条件は高校での成績(評定平均)です。多くの場合、高1から高3の1学期までの全教科の評定平均値が基準とされ、人気大学では評定平均4.0以上などかなり高い水準が求められます。さらに欠席日数や生活態度、課外活動の実績などが考慮されることもあります。
高校内で希望者が複数いる場合は、これらの条件にもとづいて校内選考が行われ、推薦を受けられる生徒が決まります。指定校推薦の大きな特徴は合格率の高さにあります。一般的な一般入試では倍率が数倍にもなり合格率20~50%程度、推薦入試(公募制推薦など)でも10~30%程度と言われますが、指定校推薦は合格率ほぼ100%とも言われます。
実際、指定校推薦は高校側が「この生徒なら間違いない」と推薦した人を大学が受け入れる形式のため、校内選考さえ通過すれば合格したも同然なのです。よほど問題がない限り落とされることはなく、大学によっては「必ず進学すること(合格後の辞退禁止)」を条件に指定校推薦枠を提供しています。
つまり指定校推薦とは、「高校が自信を持って推薦する生徒」を大学がほぼ確実に合格させる制度です。高校で良い成績を収め、信頼を勝ち取った人にとっては最も有利な入試方式と言えるでしょう。
指定校推薦はやめた方がいい?
「指定校推薦はやめた方がいい」という声を耳にすることもあります。それはなぜでしょうか?
主な理由の一つは、「楽すぎる入試だから、入学後に苦労する」という心配です。指定校推薦は受験勉強によるプレッシャーが少ない反面、一般受験で必要な勉強を経験しないまま大学に入学するケースもあります。そのため、「大学に入ってから授業についていけないのでは?」という不安や、「受験で苦労していない分、後から痛い目に遭う」という意見が出てくるのです。
確かに、指定校推薦で合格した人の中には進学後にミスマッチを感じるケースもあります。たとえば本来自分の学力レベルより高い難関大学に進学できてしまうことがあり、その結果、大学の勉強についていけなくなる人が出てしまうこともあります。
実際、指定校推薦で入学したものの授業についていけず単位を落として留年や中退をしてしまう例も珍しくないと言われています。これは、入試段階で学力試験を経ていないために生じるミスマッチと言えるでしょう。
しかし、「指定校推薦=やめた方がいい」と一概に決めつけるのは早計です。大切なのは自分に合っているかどうかの見極めです。指定校推薦で合格できる大学が自分の学びたい分野・レベルに合致しているか、入学後にしっかり努力する意志があるかを考えましょう。
もし「有名大学に行けるから」という理由だけで無理に指定校推薦を狙うと、入学後に後悔する可能性があります。一方で、志望校の指定校推薦枠があり、自分も条件を満たしていて、その大学で学ぶ意欲があるなら、指定校推薦は有力な選択肢になります。「楽だからやめとけ」ではなく、自分の将来にとってベストな道かどうかで判断しましょう。
指定校推薦のメリット
指定校推薦には、受験生にとって魅力的なメリットがたくさんあります。まとめると次のとおりです。
メリット1 受験のストレスが少ない
一般受験のように難しい筆記試験に向けて猛勉強したり、試験本番での一発勝負に緊張したりする必要がほとんどありません。指定校推薦では調査書や面接・小論文が中心で、筆記の学力テストが課されることは稀です。そのため精神的な負担が軽減されます。日頃の定期テスト勉強を頑張ってきた人にとっては、その成果を評価してもらえる形の入試です。
メリット2 早めに進路が決まる:
指定校推薦の選考は秋頃に行われ、一般的に合格発表は12月頃と、一般入試より数ヶ月早い時期に結果が出ます。高校3年の冬を受験勉強に費やす必要がなくなるため、合格が決まったら残りの高校生活に余裕が生まれます。早期に進路が確定することで、大学入学までの時間を有意義に使って勉強や趣味に取り組んだり、心の準備をしたりできます。
メリット3 合格の確実性が高い
前述のように指定校推薦は合格率が非常に高い(ほぼ100%に近い)のが最大のメリットです。一度高校から推薦をもらえれば、よほどのトラブルや試験での失敗がない限り合格できます。一般入試のように「当日体調が悪くて実力が出せず不合格…」という心配もありません。言い換えれば、指定校推薦を勝ち取れれば大学進学がほぼ約束されたも同然なのです。これは受験生にとって大きな安心材料でしょう。
指定校推薦のデメリット
一方で、指定校推薦には注意すべきデメリットや制約も存在します。主なデメリットを挙げてみます。
デメリット1 他の大学と比較しにくい(選択肢が限られる):
指定校推薦を利用する場合、自分の通っている高校に提示されている指定校枠の中から進学先を選ぶことになります。高校によって提携している大学や学部が異なるため、受験できる大学の選択肢が限られてしまいます。
本当は別の大学や学部に興味があっても、指定校推薦枠がなければ受けられません。また指定校推薦は原則「専願」(合格したらその大学に入学することが前提)なので、合格後に他大学への受験や進路変更は基本的にできません。早く進路が決まる反面、将来の選択肢を狭めてしまう可能性があります。
デメリット2 進学後に勉強についていけないケースもある
デメリットとしてよく指摘されるのが、大学入学後の学力ギャップです。指定校推薦では筆記試験がないため、一般入試組に比べて入学時の学力が足りない傾向があるとも言われます。その結果、大学の専門的な授業についていけず苦労したり、単位を落としてしまう学生もいます。
特に理系分野ではその傾向が顕著で、難しい内容についていけず留年・中退する例も出ているようです。指定校推薦で合格したからといって油断すると、入学後に大変な思いをするリスクがあることは覚えておきましょう。
デメリット3 合格後の進路変更ができない(辞退しづらい)
指定校推薦は基本的に「この高校から推薦された生徒は必ず受け入れる」という大学との約束のもと成り立っています。そのため合格した後に辞退することは原則できません。もし指定校推薦で合格してから「やっぱり別の大学に行きたい」「進路を変えたい」と思っても、その時点で一般受験に切り替えるのは非常に難しいです。
仮に辞退すれば、あなたの高校と大学の信頼関係にも傷がつき、後輩たちにも迷惑がかかりかねません。言い換えれば、指定校推薦で合格=その大学に進むことがほぼ確定となるため、将来的に他の道を選ぶ余地が小さくなるのです。
指定校推薦を廃止しろと言われる理由
ネット上や一部の意見で「指定校推薦なんて廃止しろ!」という過激な主張を見ることがあります。なぜそこまで言われてしまうのか、その背景にある理由を探ってみましょう。主に考えられる批判の理由は次の3点です。
理由1 「努力しなくても大学に行けてしまう」
指定校推薦は一般入試のような厳しい受験勉強を経ずに合格できるため、「こんなのはズルい」「楽して進学していて不公平だ」という声があります。
一般入試組から見ると、自分たちは必死に勉強しているのに、指定校組は受験勉強なしで合格を勝ち取るように見えるわけです。特に周囲がピリピリ勉強している中で指定校推薦組だけ早々に合格が決まると、「努力せずに勝ち逃げしている」ように映り、反感を買うことがあります。
理由2 一般受験生との公平性の問題
上記と関連しますが、「入試機会の公平性」を疑問視する意見です。大学入試は本来全員が同じ試験を受けて競うものなのに、指定校推薦では高校ごとに枠が割り当てられているため高校間で有利不利が発生します。
また、学力試験ではなく内部選考と推薦で合否が決まるため、「学力以外の要素で合格が左右されるのは不公平だ」という批判もあります。極端な言い方をすれば、「学力が足りなくても難関大学に入れてしまう制度」であり、受験の公正さを欠くという指摘です。
理由3 学力低下への懸念
教育的な観点からは、「指定校推薦の増加は高校生全体の勉強意欲を削いでしまうのではないか」という心配もあります。難しい入試を課さなくても大学に行けるとなれば、受験勉強に励む生徒が減り、結果的に高校で身につく学力が低下するのではという議論です。
実際、指定校推薦で入学した学生の中には入学後の学力不足が指摘されるケースもあり、「大学全入時代の弊害だ」と批判する向きもあります。大学側でも、あまりに基礎学力が不足した生徒が入ってくると教育が大変になるため、推薦入学者の質低下を懸念する声もあります。
以上のような理由から、指定校推薦制度に否定的な人は「廃止すべきだ」と主張することがあります。しかし、これらの批判には誤解や偏見も含まれていることを押さえておきましょう。次の章では「指定校推薦はずるいのか?」という点について、もう少し踏み込んで考えてみます。
指定校推薦はずるいのか?
指定校推薦に対する批判でよく聞くのが「ずるい」という言葉です。「指定校推薦組は受験勉強しないで大学行くなんてずるい!」というわけですね。では、本当に指定校推薦は“ずるい裏技”なのでしょうか?
結論から言えば、決してそんなことはありません。以下に、指定校推薦が必ずしもずるいものではない理由を解説します。まず、指定校推薦がずるいと思われる主な理由を整理すると、「受験勉強の苦労を味わっていない」「模試ではE判定のような人でも難関大学に合格できてしまう」「推薦をもらえれば事実上合格が保証される」という点が挙げられます。
たしかに表面だけ見ると、一般受験組からすれば不公平に映るかもしれません。しかし、この見方は一面的です。指定校推薦で合格するためには、高校で地道に成績を積み上げる相当な努力が必要です。例えば毎回の定期テストで上位の成績を維持し、評定平均で高い数字を取らなければなりません。
難関大学の指定校推薦枠を取る人は、高校1年の頃からずっと学年トップクラスの成績をキープしています。しかも、一般受験なら切り捨ててしまうような科目(音楽・保健体育など)も含め全教科で手を抜かず勉強する必要があります。3年間コツコツ努力し続けなければ指定校推薦は勝ち取れません。言い換えれば、指定校推薦組は受験勉強という短期決戦の苦労はなくても、長期にわたる努力を積んでいるのです。この点を無視して「楽してずるい」というのは的外れでしょう。
また、「指定校推薦=学力が低い人」というイメージも誤解です。確かに入学試験の点数勝負を経ていない分、入学時点での勉強の実力は一般組の方が高い場合もあります。しかし指定校推薦で入学した学生の中には、大学でトップクラスの成績を収める人もいます。高校時代に培った基礎力やコツコツ取り組む姿勢が大学でも役立ち、むしろ一般入試組を追い抜くことだって十分にあり得ます。
事実、指定校推薦で入った私の友人は大学で成績優秀者となり奨学金をもらっているほどです。要は入学後の頑張り次第でいくらでも挽回可能であり、「推薦=無能」では決してありません。さらに言えば、高校3年時点での学力が高いかどうかと、その人の将来の成功や能力はイコールではありません。
一般入試で高得点を取ったからといって将来まで安泰なわけではなく、大事なのは大学で何を学びどう成長するかです。そう考えると、推薦だろうと一般だろうと、入学後に努力する人が最終的に力を付けます。推薦入学者でも自分の夢に向かって努力し続ければ十分に活躍できるので、「入試方式が違う」という一点だけでずるいとか劣っているとか判断するのは偏見と言えるでしょう。
指定校推薦は嫌われるのか?
で指定校推薦で合格した人は周りから嫌われてしまうのでしょうか?
確かに先述のように、指定校合格者に嫉妬したり「ずるい」と陰口を叩いたりする同級生がいるのも事実です。周囲が受験勉強でピリピリしている中、自分だけ進路が決まって遊んでいたりすると反感を持たれ、「なんかムカつく」「うざい」なんて思われることもあるでしょう。
けれども、指定校推薦だからといって必要以上に引け目を感じる必要はありません。なぜなら、あなたはあなたの努力で推薦枠を勝ち取ったのであり、それは胸を張っていい成果だからです。高校でしっかり成績を残し、学校から信頼されて推薦されるというのは素晴らしいことです。
周囲の一部には偏見や妬みからくる批判もあるかもしれませんが、気にしすぎる必要はありません。むしろ合格後は「推薦組は楽だと思われないように大学で頑張ってやる!」くらいの気持ちでいれば良いのです。指定校推薦で合格した人に大切なのは、入学後に実力を証明することです。
高校時代に培った粘り強さや計画性を活かして大学の勉強や活動に励みましょう。もし周りから何か言われても、大学で成果を出して見返せばいいのです。実際、推薦で入学しても大学で優秀な成績を収めていれば周囲の目も変わってきますし、自分自身も自信がつくはずです。
それから、指定校推薦組同士で支え合うことも有効です。同じ立場の友人と情報交換したり、一緒に勉強したりすれば心強いでしょう。「自分は推薦だから…」と卑屈になる必要は全くありません。推薦入学者も一般入学者も、入ってしまえば同じ新大学生です。堂々と学生生活を送り、自分の選んだ道でベストを尽くせば、周囲の見る目も次第に変わっていきます。
「後から大変」は偏見に過ぎない
指定校推薦について、その仕組みからメリット・デメリット、そして批判の声まで解説してきました。最後にポイントを振り返りましょう。指定校推薦は高校での成績優秀者に与えられるチャンスであり、一般受験とは異なる形で努力が報われる道です。
一般受験には一般受験の大変さ、指定校推薦には指定校推薦の大変さがそれぞれあります。どちらの道を選んでも、楽なことばかりではなくそれ相応の苦労や努力が必要です。「指定校推薦だから後から大変」「一般受験だから偉い」というような単純な優劣は存在しません。
確かに、指定校推薦組の中には入学後に苦労する人もいますが、それは一般入試組でも同じです。大学に入ってから伸びる人もいれば伸び悩む人もいるのは、公平な事実でしょう。大事なのは大学入学後にどう過ごすかです。推薦だろうと一般だろうと、そこで満足せず自分を高める努力を続けた人が充実した大学生活を送り、将来の道を切り開いていきます。
「指定校推薦=ずるい」「指定校推薦=楽でいいよね」というのは偏見に過ぎません。推薦で合格した人は胸を張っていいし、一般受験した人も自分の努力に誇りを持てばいいのです。互いの道を尊重しつつ、それぞれの場所でベストを尽くすことが大切です。
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