高校進学を考えるにあたって、定時制高校を検討している人たちもいるはずです。特に、全日制の学校に合わないと自分でわかっているならば、働きながら勉強するのも立派な選択肢です。
しかし、いざ親や先生に相談したら、「定時制はやめときなさい」と言われたなんて経験もあるかもしれません。実際のところ、定時制高校の評判は悪いのでしょうか?
この記事では、定時制高校はやめとけと言われる理由を解説しています。また、「定時制に入ると、人生終わりと嘆かれるのはなぜなのか?」という疑問にも言及しているので、定時制の進学を検討している人たちは参考にしてみてください。
定時制高校とは?
定時制高校とは、夜間に授業が行われる高等学校です。昼間に働いている人や通学ができない人たちにとって学ぶ場所を提供できる重要な教育環境です。
通常、授業は午後から夜にかけて実施されます。全日制と比較して単位を取得するのに時間がかかるため、4年間で卒業するのが一般的です。
定時制に入学する生徒は多様です。学業と仕事を両立させたいと考えている人もいれば、全日制の環境が合わずに選んだ人たちもいます。
定時制高校はやめとけと言われる理由
けれども、いざ定時制高校の入学を検討しようと、先生や親に相談したら「やめときなさい」と言われることがあります。定時制高校に対してネガティヴな意見があるのは、どうしてなのでしょうか?
ここでは、代表的な3つの理由を紹介していきます。
理由1 素行の悪い生徒がいる
第1に、定時制高校のなかには、いわゆる「ヤンキー」と呼ばれる素行の悪い生徒がいることから進学を勧めない人たちもいます。
たしかに、地域によっては定時制が不良の溜まり場になるケースもあります。具体的に言えば、中学校をずる休みして仲間と悪いことしていた人たちが勉強しなくても入学できる選択肢として定時制高校が機能することもあるわけです。
もちろん、不良と呼ばれる人たちが必ずしも悪い影響を与えるとは限りません。さらに、ひと昔前の世代が持っている「定時制は荒れている」というイメージが先行しているだけの可能性もあります。その意味では、自分が進学したいと考えている定時制高校の下見を行くことを推奨します。
理由2 卒業するのが大変
第2に、全日制の高校と比べて定時制高校は卒業するのが大変なことから中退のリスクが高いと言われる場合もあります。
実際、文科省が調査したデータを見ると、定時制の中退率が最も高いことがわかります。
文科省『定時制課程・通信制課程高等学校の現状』より引用
もちろん、定時制だから中退しているのか、それとも中退しやすい人が定時制似通っているのかを見極める必要はあります。しかし、全日制の高校が3年で卒業できるのに対して、定時制は4年かかります。1日あたりの授業時間が短いとはいえ、年数が長い分だけ継続するのは大変であると推察されます。
理由3 友達作りが難しい
第3に、定時制高校に所属している生徒たちは年齢も生活環境もバラバラですから、コミュニケーション能力に自信がないと友達作りが難しいかもしれません。
全日制の高校は留年など特別な事情がない限り、同級生は同世代です。学校生活が人生の大半を占めていますから、共通点も自然と多くなります。個人の性格によっても異なりますが、友達作りも比較的にしやすい環境であると考えられます。
けれども、定時制は「仕事と勉強の両立ができる」というメリットがあることから、同級生と言っても年齢も背景も全然違うケースも珍しくありません。したがって、友達になるきっかけを見つけるのが難しいと言えるかもしれません。
ただし、逆を言えば、幅広い年齢層や異なる背景の友人ができる可能性もあります。同世代とは、違う経験を蓄積することで独創的な視点を養うこともできます。あくまでも、自分の過ごし方次第なわけです。
定時制に入ると「人生終わり」なのか?
それでは、定時制高校に進学すると「人生終わり」なのでしょうか?
定時制高校に通ったからと言って、人生が終わりになるわけではありません。そもそも定時制の進学によって不幸になる人がいるならば、今日に至るまで仕組みとして維持されるわけがないのです。むしろ、目的をしっかり決めて定時制の環境を活用すれば、自分らしい未来を描いていけるでしょう。
もちろん、定時制高校のデメリットも存在します。
- 卒業までにかかる時間が長く、学校での学習時間に制約がある。
- 進学や就職先で全日制を優先される場合がある。
- 学歴主義者から偏見を持たれる可能性がある。
けれども、このような短所が自分の人生を狂わせるかどうかは、自らの過ごし方次第なのです。安易に、定時制を全否定するのは、これまで卒業して社会で活躍している人たちに対して失礼です。見極めるべきことは、「自分にとって定時制を活かして何ができるのか?」を考えることなのです。
仮に、定時制を中卒扱いのように冷遇する人がいたとしても、自分に実力があれば、「定時制なのにすごい」と偏見を逆手にとって努力を証明できます。今すでに定時制に通っている人たちで「人生」を不安に思うなら、最初に見直すべきは自分自身の過ごし方なのです。
定時制を卒業した有名人
定時制高校を卒業後、社会で立派に活躍している人たちはたくさんいます。ここでは、定時制出身の有名人を何名か紹介していきます。
定時制を卒業した有名人
- 東君平 – 画家、童話作家
- 本田恭章 – ミュージシャン
- パパイヤ鈴木 – タレント、ダンサー
- 渡辺慶(編入) – 脚本家、漫画原作者
- 小幡洋子(編入) – 歌手、作詞家
- 久万里由香 – モデル、女優
総じて、芸能界で活躍している人たちのなかには、定時制高校の卒業生がそれなりにいます。仕事と学業の両立を叶えるという意味では、ぴったりの教育環境であると言えます。そのほかにも、有名でなくとも企業で働いている人たちもいます。
恥ずかしいのは自分自身
定時制高校を卒業したからといって恥ずかしいことはありません。むしろ、定時制卒業であることを馬鹿にする人たちは、人間を肩書きでしか見ることのできない欠陥を持っていると言わざるを得ません。一流の世界で恥をかくのは、偏見でしか他人を評価できない人たちなのです。
けれども、全日制よりも通学年数が長く、午後から始める生活スタイルをちゃんと活かした人生設計をしないと、定時制高校に進学したことが仇になる可能性もあります。何度も繰り返しになりますが、自分が定時制をどう活かすかがすべてなのです。
ただし、明らかに環境が悪そうな高校を選ぶのも賢い選択とは言えません。したがって、必ず高校を見学してください。自分の目でちゃんと確かめて、先生と親が納得する具体的な計画や目的を持ちましょう。そうすれば、あなたらしい高校生活をつくることができるはずです。
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