自分の子どもがいきなり「部活に行きたくない」と言ったら、みなさんはどのように思いますか?
学校生活の中でも、部活は仲間と目標に向かって進む青春のかけがえのない時間です。それにもかかわらず、「行きたくない」と落ち込んでいると、「何があったのだろうか?」と心配になりますよね。また、体育会系で活動していた人たちならば、「部活に行きたくないなんて甘えだ」と否定的に考えることもあるかもしれません。
この記事では、中学生や高校生が部活に行きたくない心理について解説しています。また、「部活をやめるのは甘えなのか?」という疑問も考察しているので、自分の周りに「部活で悩んでいる人たち」がいる人は参考にしてみてください。
部活に行きたくない心理4選
さて、中学生や高校生が部活に行きたいないと感じるのは、どうしてなのでしょうか?
一概には言えませんが、ここでは4つの視点に基づいて心理を考察していきます。
心理1 人間関係のストレスで行きたくない
部活の人間関係がストレスになっていることが原因で行きたくないのかもしれません。
いうまでもなく、部活動では所属しているメンバーと多くの時間を共に過ごすため、良好な人間関係の構築が重要となります。しかし、先輩・後輩の関係性、指導者とのコミュニケーションのすれ違い、チームメイトとの衝突など、様々な場面でストレスが生じる可能性があります。
例えば、以下のようなストレスを抱えることがあります。
- 厳しい上下関係や指導によるプレッシャー
- チームメイトとの価値観の違いや対立
- グループ内での孤立や疎外感
- 陰口やいじめなどの問題行動
特に、思春期・青年期においては、自己主張や対人関係のスキルが未熟な場合もあり、人間関係のストレスを強く感じやすい傾向にあります。人間関係のストレスを感じている場合は、一人で抱え込まずに、信頼できる大人に相談することが重要です。
顧問の先生、スクールカウンセラー、保護者など、安心して話すことができる相手を見つけましょう。また、部活動以外のコミュニティに参加したり、趣味に没頭するなど、ストレスを軽減する方法を見つけることも有効です。
心理2 自分だけ下手で居づらい
部活動において、自分だけが周りと比べて技術的に劣っていると感じることは、強いストレスや仲間からの疎外感につながる可能性があります。
部活動は、その競技の技術向上やチーム・個人の目標達成を目指す場であるため、周囲との比較や競争意識が生まれやすい環境です。特に、自分だけが上達できずにいると、自己肯定感の低下や劣等感に繋がり、「部活に行きたくない」と感じる要因となります。
また、周囲からの過度のプレッシャーや期待に応えられないことによる焦りも、精神的な負担を増大させます。例えば、以下のような劣等感を抱く可能性があります。
- 練習についていけず、チームの足を引っ張っていると感じてしまう
- 試合に出場できず、貢献できていないと感じてしまう
- 周囲とのスキルの差を痛感し、自信を失ってしまう
- 上達しない自分に苛立ち、モチベーションが低下する
技術的な劣等感を抱いている場合は、まずは自分自身のペースで努力を続けることが重要です。焦らず、小さな目標を立てて少しずつ達成していくことで、自信を取り戻すことができます。さらに、顧問や先輩に相談し、具体的なアドバイスやサポートを求めることも有効です。
大切なのは、自分だけが劣っているわけではないと理解することです。誰もが最初は初心者であり、努力を重ねることで成長していきます。焦らず、自分自身の可能性を信じ、部活動を楽しめるようにしましょう。
心理3 顧問と性格が合わない
部活動における顧問との関係性は、生徒のモチベーションや活動への意欲に大きく影響します。顧問と性格が合わないと感じると、「部活に行きたくない」と感じることがあります。
顧問は、生徒にとって指導者であると同時に、人間関係における重要な存在です。もし、指導方針やコミュニケーションスタイル、価値観などが生徒と合わない場合、信頼関係の構築が難しくなり、顧問に対してストレスや不満を感じやすくなります。
例えば以下のような悩みが出てくる可能性があります。
- 顧問の指導が厳しすぎたり、逆に甘すぎたりすると感じる
- コミュニケーションが一方的で、自分の意見が尊重されていないと感じる
- 顧問の価値観や考え方に共感できず、顧問との距離を感じる
- 顧問との相性が悪く、緊張感や居心地の悪さを感じる
特に、思春期・青年期においては、自己主張や対人関係におけるスキルが未熟な場合もあり、顧問との関係性に悩みやすい傾向にあります。
顧問と性格が合わないと感じている場合は、まずは自分自身の今の気持ちを整理し、何が原因で合わないと感じているのかを具体的に把握することが重要です。
その上で、可能な範囲で顧問とのコミュニケーションを試みたり、担任の先生、保護者、保健の先生など信頼できる第三者に相談することで、状況改善の可能性を探ることができます。
しかし、どうしても関係性が改善しない場合は、部活を続けること自体が大きなストレスとなり、心の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのような場合は、勇気を持って部活を辞めるという選択肢も検討しましょう。部活を辞めることは決して甘えではなく、自分自身を守るための大切な決断です。
心理4 なんとなくだるい
部活に行きたくない理由として、「なんとなくだるい」「やる気が出ない」といった漠然とした倦怠感を挙げる生徒は少なくありません。
このような倦怠感は、身体的な疲労や精神的なストレス、睡眠不足、栄養バランスの乱れなど、様々な要因が複雑に絡み合って生じることがあります。
とりわけ、思春期・青年期は、心身の成長に伴い、ホルモンバランスが不安定になりやすく、倦怠感を覚えやすい時期でもあります。この年代に現れる倦怠感について、具体的には、以下のような症状が現れる場合があります。
- 充分な睡眠を取っているにも関わらず、朝起きるのが辛い
- 部活の練習中、集中力が続かず、ミスが増えてしまう
- 以前は楽しかったはずの活動が、億劫に感じられる
- 身体が重く、やる気が出ない状態が続く
漠然とした倦怠感を感じている場合は、まずは自身の生活習慣を見直し、睡眠、食事、運動など、基本的な生活リズムを整えることが重要です。
また、精神的なストレスの原因を特定し、適切な対処法を見つけることも有効です。信頼できる大人に相談したり、カウンセリングを受けることも検討してみましょう。もし倦怠感が長期間続く場合は、身体的な疾患が隠れている可能性もあります。
部活に行きたくないのは甘えなのか?
なお、「部活に行きたくない」という感情は甘えなのでしょうか?
結露から言えば、「部活に行きたくない」と思うのは甘えであるとは限りません。理由がはっきりしているならば、後ろめたさを感じる必要はないのです。部活は学校生活の一部ですが、過度な練習、人間関係におけるストレス、上達への不安など、さまざまな理由で精神的に負担を感じることがあるんです。
それにもかかわらず、「部活に行きたくない」というSOSのサインを出している人に対して、「甘えだ」と決めつけるのは無慈悲な行為であると言えるでしょう。
とはいえ、部活などの厳しい学生生活を歩んできた人からすると、「部活に行きたくないなんて腑抜けたことを言いやがって!」と感じてしまうこともあるかもしれません。その意味では、「甘え」と言ってくる親や先生に対しては「やりたくないことを努力してきた人なんだ」と思っておけばよいでしょう。
行きたくない理由を聞いてあげよう
子どもの「部活に行きたくない」という言葉の裏には、様々な感情や悩みが隠されている可能性があります。すなわち、子どもの「部活に行きたくない」という言葉は、SOSのサインかもしれないのです。それを「甘え」と決めつけずに、まずはじっくりと話を聞いてあげることが大切です。
具体的な理由を理解することで、適切なサポートや解決策を見つけることができます。これまでにも挙げたように、子どもが「部活に行きたくない」というのには以下のような理由があるかもしれません。
- 人間関係の悩みを抱えている
- 過度な練習で疲れている
- 技術的な壁にぶつかり、自信を失っている
- 部活へのモチベーションが下がっている
まずは、子どもの言葉に耳を傾け、共感する姿勢を示しましょう。「どうして行きたくないの?」「何か辛いことでもあった?」など、具体的な質問を投げかけることで、子どもが安心して話せる雰囲気を作り出すことが重要です。
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